江戸の港町の記憶|高砂「工楽松右衛門旧宅」

高砂の古い町並みを歩いていると、白い漆喰と木の格子が美しい一軒の屋敷に出会います。

工楽松右衛門旧宅。

戸口をくぐった先には、土間の静けさ、長い年月を重ねた柱や梁、格子越しに差し込むやわらかな光。

主屋は江戸時代後期に建てられた木造二階建て。白い漆喰の軒裏や越屋根、古い建具など、この町で人が暮らしていた頃の面影が、あちらこちらに残されています。

部屋から部屋へと歩いていると、戸を開ける音や、土間を行き来する足音まで聞こえてきそうです。

この家のすぐそばには、かつて船が行き交った南堀川があります。

江戸時代の高砂は、瀬戸内海と加古川の舟運を結ぶ港町。船から荷を揚げ、人や物が行き交い、町には今よりずっと海の気配が近かったのでしょう。

この家に暮らした工楽松右衛門もまた、そんな海とともに生きた一人でした。

丈夫な帆「松右衛門帆」を考案し、各地の港づくりにも携わった人物として知られています。

格子窓。 風の抜ける土間。 立派な梁。

二百年近い時間を経た今も、家の中には、港町だった高砂の気配が静かに残っています。

海は以前より遠くなりました。

それでもこの家に入ると、ほんの少しだけ、船の行き交っていた頃の高砂へ戻れるような気がします。

工楽松右衛門旧宅

:兵庫県高砂市高砂町今津町532

:079-490-4790

:10:00〜17:00、火曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)

:有り

@kuraku_tei

※情報は取材時点のものです。

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この記事を書いた人

古いものは新しいものより少しだけ物語を知っています。
古民家や町家、レトロな建物を訪ね歩き、その魅力を静かに集めています。
誰かの「行ってみたい」が生まれる場所になれたらうれしいです。