明石市大久保町。
まちの喧騒から少し離れたところに、ひっそりと時を止めたような洋館があります。
そばに立つ石碑には、明治天皇の小休所であったことを伝える文字。
明治18年、山陽道を巡幸された明治天皇が、この地でしばし休まれたことを伝えるものです。
この洋館はその後、大正8年に建てられた安藤家洋館。

目の前の洋館は、声高に歴史を語ることはありません。
閉ざされた窓。
風にさらされた壁。
草木の陰に沈むような佇まい。
華やかだった日々は、もう遠くに過ぎ去り、建物はただ、残された時間を抱くように立っています。
美しく整えられた史跡ではありません。けれど、朽ちていく姿の中にだけ宿る、深い静けさがあります。

大久保のまちの片隅で、忘れられたように残る建物。
それは、過去が完全には消えず、今の風景の中にまだ息をしていることを教えてくれます。
安藤家洋館
:兵庫県明石市大久保町駅前1丁目2-14
JR大久保駅より徒歩5分
※情報は取材時点のものです。

