加古川駅のにぎわいから、ほんの少し路地へ。 そこに、時間から取り残されたような一軒の建物があります。
「空箱」は、かつて旅人を迎えていた旅館を手入れし、カフェとして生まれ変わった場所。
引き戸をがらりと開け、靴を脱いで上がると、店を訪れたはずなのに、誰かの家へ帰ってきたような気持ちになります。
中へ入ると、長い年月を重ねた木の色と、やわらかな灯りが静かに迎えてくれます。

室内を見渡すと、レトロな物たち、時代を感じさせる家具。
旅人を迎える旅館だったころの面影が、あちらこちらに感じられ、役目を変えた今も、この家には訪れる人を包み込むような、やさしい空気が残っています。

窓辺の席に腰を下ろすと、障子越しの光や、古い木の手触りまでが、この家の物語を話してくれるよう。
新しく塗り替えすぎず、古さを隠しすぎず、残せるものを残しながら、今の居場所へとつなぎ直されています。
人を泊める場所から、人がひと休みする場所へ。
役目は変わっても、この家が人を迎えることは変わりません。

駅前の路地に残された、小さな昭和の記憶。
「空箱」という名前の中には、訪れる人それぞれの時間を、静かに受け入れる余白があるように思えました。
古民家カフェ 空箱

